オープンループ型地中熱利用システムの高効率化とポテンシャル評価手法の研究開発

研究紹介

NEDO「再生可能エネルギー熱利用技術開発」

(平成27年度~平成30年度 4年間)

オープンループ型地中熱利用システムの
高効率化とポテンシャル評価手法の研究開発

本研究開発の背景

地中熱利用のうち、オープンループに着目する理由

  • 1本の孔井で広い範囲から熱を回収することができるため、クローズドループと比べて孔井の総延長を短くすることができる。
  • 適切に設計をすれば、安定した熱源を使い続けることができるため、高いCOPが得られる。
  • 一方で、オープンループ型の導入実績は件数ベースでみると、クローズドループ型よりも少ない。

地中熱利用の普及状況

件数ベースで見ると、オープンループ型はまだまだ少ない。

○テーマの背景・目的

背景

オープンループ型地中熱利用システムは、システム設置コストを抑制できる可能性があり、熱源温度が一定である地下水を利用できるにもかかわらず、クローズドループ型システムに比べて導入件数が少ない。

目的

本事業は、オープンループ型地中熱利用システムに関する技術課題と適地選定課題を解決して低コスト化を進め、システムの普及拡大に貢献する。

○研究開発課題

  • 1a) 還元井の目詰まりによる還水能力の低下を抑制する技術を開発。
  • 1b) 高効率化を可能とする地下水熱交換ユニットを開発。
  • 2a) 打ち込み井戸や浸透ますを利用した戸建住宅向けの低コストオープンループ型地中熱利用システムを開発。
  • 2b) オープンループ型地中熱利用システムに対するポテンシャル評価技術を開発。

○キーテクノロジー、ブレークスルーのポイント、オリジナリティ

  • ①最適逆洗技術、地下水熱交換ユニット
  • ②戸建住宅向けの低コストオープンループ型地中熱利用システム
  • ③オープンループ型システム適地選定のポテンシャル評価技術、ポテンシャルマップ作成技術

○目標

H28年度 従来のオープンループ型システムとの価格性能比で、設置コストと運用コストの20%削減見通しを示す。
H30年度
(最終)
各技術開発により、設置コストと運用コスト20%削減を達成する。

本研究開発の目標

中間(H28年度)目標
  • 逆洗技術の技術的課題の抽出・設計手法の検討と地下水熱交換ユニットの設計・試作・試験による課題の明確化
  • データベース構築手法検討と、浸透ます適用技術、及びタンク式熱交換器・浸透ます併用システムの課題の明確化
  • 条件有利地域におけるシステム運用コストの評価,及び逆解析法TRT試験技術の確立
最終(H30年度)目標
  • 地下水循環型オープン方式の設計手法の確立と地下水熱交換ユニットの完成、及び設置・運用コストの20%削減の実現
  • 打ち込み井戸と浸透ますの長期利用技術の確立による設置・運用コストの10%削減の実現とタンク式熱交換器・浸透ます併用システムの最適化
  • ポテンシャルマップの作成と地下水熱流動のモデル化によるシミュレーション技術の確立

本研究開発の実施体制

1a, 1b 最適逆洗技術の開発と地下水熱交換ユニットの開発

担当:東邦地水株式会社
  • 1)還元井の還元能力低下機構(目詰まり等)の解明
  • 2)逆洗技術の課題抽出と設計手法の検討
  • 3)還元井の逆洗方法と回復条件の明確化
  • 4)地下水熱交換ユニット構成の検討
  • 5)地下水熱交換ユニット運転制御方式の検討

2a 打ち込み井戸と浸透ますの適用技術の開発と、タンク式熱交換器・浸透ます併用システムの開発

担当:株式会社テイコク
  • 1)打ち込み井戸の適地選定に必要な条件抽出と、汎用的利用に向けたデータベース構築手法の検討
  • 2)地盤の浸透能力およびメンテナンスを考慮した浸透ますの構造と規模の検討
  • 3)実証施設での浸透ますによる長期還元能力の検証と周辺地下水温環境への影響検討
  • 4)打ち込み井戸の利用を可能にするタンク式熱交換器と浸透ます併用型地中熱利用システムの検討

2b オープンループ型地中熱利用システムのためのポテンシャル評価技術開発

担当:国立大学法人岐阜大学
  • 1)ポテンシャル評価に必要な地下水の調査方法を確立
  • 2)運用コストに与える地下条件の影響を把握
  • 3)サーマルレスポンス試験を行い、地下水流れ影響を加味した地層熱伝導率を算出
  • 4)ポテンシャル評価技術を開発
  • 5)設置コストと運用コストの削減率に基づくポテンシャルマップを作成
  • 6)逆解析法サーマルレスポンス試験法を確立し、試験を実施して、地下水熱流動のモデル化によるシミュレーション技術を開発

本研究開発のスケジュール

成果の実用化・事業化の見通し